◆本編は健全なネタ小説だぞ!! 「ふぅ……今日は少し肌寒いですね……」 私の名前はマンハッタンカフェ。何処にでもいる普通の人妻ウマ娘。現在27歳です。 「ママーっ!!」 とたとたと元気いっぱいに走り寄ってきたのは私の子供であるワタシノムスメ。とても可愛らしい自慢の子です。 「…どうしたんですかムスメ」 「あのねー?わたし、ママに聞きたいことがあるのー!」 「…はい、どうぞ。何でも聞いてくださ」 「どうしてママはそんなに暗くてじめじめしててママ友も全然居なくていつも決まってまっくろくろの服しか着てないのー!?」 「ぐはっ!?!?」 私はムスメのその悪意のない問いに心臓を貫かれてしまいました。 「ム、ムスメ…一体何故、そのような事を……?」 「コーヒーが跳ねても目立たないようって理由だけで黒い服しか着てないって町内会で噂になってるらしいよー!」 「こぷぁっ!?!?」 私は先ほど飲んだコーヒーを全て胃から吐き出しかねない甚大なダメージを負ってしまいました。 「…コラコラ。ムスメ、止めてあげなさい。事実とは言え、言っていい事と悪い事があるんだよ?」 そして仲裁に入る風に私に対して追い討ちを掛けてきたのは私の夫のトレーナーさんです。意地悪な所は多少ありますが…大好きです。 「はーい……ねぇパパー。ママって昔からこんなのなの?」 「………ヒュッ」 実の娘からこんなの呼ばわりされ、ショックを受けてしまいます。ついに反抗期が来たのでしょうか…! 「ん…?服の色はともかく性格とかは俺と出会った時からこんな感じだよ。でも俺はそんなカフェに惹かれて一緒になったんだ」 「ト…トレーナーさん……っ」 「それに性格はアレでも身体付きはすごく…ものすごくなったんだぞ!」 「…そ、そういうのはムスメの前では口にしないで下さいよ……」 むちっ❤︎むちっ❤︎ トレーナーさんの言う通り、私の身体は卒業後に実りに実り、今やかつてのメイショウドトウさんを彷彿とさせるかのような身体付きになりました。 「そうなんだー…パパって女の趣味あんまりよくないねっ!」 「ごぱっ!?!?」 や、やはり反抗期…!これは反抗期に違いありません…! 「あはは、でもそう言われて思い出したんだが、カフェのお母さんが昔のカフェはとっても明るい女の子だったって言ってたな」 「……ッ!?」 その言葉に私は思わず固まってしまいます。それは私にとって、トレーナーさんにすら知られたくない過去に繋がっている事柄だからです。 「へー!そのむかしって…トレセン学園に入る前のわたしくらいの歳のころ?」 「んー…逆算するとそうなるかな?うわっ!?カフェがコーヒーに角砂糖を入れまくっているタキオンを見た時のような顔をしている!!!」 「(눈_눈)……はぁ、その話は事実です…昔の私は今とは違いとても無邪気で明るく、そして……何よりも無知だったのです」 そう遠い目をして過去の思い出に私。愛を誓い合ったトレーナーさんにすらずっと隠し続けてきた私の黒歴史。いえ、白歴史。 「どうせアレだろ?いつものあの子だとか幽霊がどうとか…」 「ど、どうせとか言わないでくださいよ……違います。それよりも前の話なので…」 「あー!それわたし知ってる!!ちゅうにびょーって言うんだよね!!ママはびょーきのせいでそんなにじめじめした性格になっちゃったんだね!!かわいそー!!」 「ぐばぁっ!?!?」 結局、トレーナーさんにもムスメにも本当の事を明かす事も無いまま、私の心がめためたに傷つけられただけでその会話は無事に終わりました。 ごめんなさいトレーナーさん。私はこの秘密を墓まで持っていく、そう遥か昔に誓ったのです……。 〜次の日〜 「…タマゴのセールにトイレットペーパーまでは欲張りすぎました……うぅ、重い……全てを楽々持てていた学生時代に戻りたい……ん?あれは……?ま、まさか……っ!?」 「モチチチッ!全てをモッチモチにしてやるモチねぇっ!!」 近所の奥様方に見つかれば何を言われるか分かったものではないので、常日頃から避けていたら自ずと開拓していた人気の無い裏路地ルートを通っていたら、その奥の道で異形の姿を見かけてしまいました。 まるで巨大な鏡餅のようなずんぐりむっくりなその姿。見間違い様がありません。 (あ、あの人外的な姿は間違いなくロンジャ…っ!どうして…っ!?あれらは確かに『私が全て倒した』はずなのに……っ!) ロンジャとは私が幼少期の頃に出没し、全て根絶された筈の悪のモンスター達の総称でした。 「モーチッチッチっ!復活した記念に、この街のウマ娘達に出会い頭にアツアツの餅をぶつけてやるモチ!!」 (な、何と言う事を…っ!!このままでは町中のウマ娘達が全身餅塗れのアチアチセンシティブになってしまいます…っ!) しかしどうする事も出来ません。今の私にはもうロンジャと戦う力などは無いのです。 そう無力感に苛まれながらスマホを取り出し、警察へと通報しようとしたその時……!! 『ハーッハッハッハッ!!困っているようだねえ!!この私が力を貸そうじゃないかっ!!』 「…えっ!?あ、アナタは……っ!!タキにゃんさん!!」 私の振り向いた先で空中に浮かんでいたのは、まるで猫のような特徴を持ったマスコット的生物でした。 何処かで見たことあるような気がする特徴的な目。 何処かで見たことあるような気がする特徴的な白衣。 そして何処かで聞いたことあるような気がする特徴的な話し方。 しかしその正体に皆目見当も付かない不思議生物、その名もタキにゃんさんです。 『やぁやぁ久しぶりだねぇカフェ。随分と大きくな……い、いや君、大きくなりすぎだろ…っ!なんだその胸の駄肉は……っ!?』 「…そ、それは今は別にいいじゃないですか……っ」 どたぷんっ❤︎ タキにゃんさんはかつての私の命を救った恩人であり、私を絶望に叩き落とした仇敵でもあります。この生物こそが私の消し去りたい白歴史の元凶なのです。 「…そ、それよりもどうしてアナタがここに…っ!?もう二度と私の前には現れないと、そう仰ってましたよね…っ!?」 『…おやぁ?そんな事言ったかなぁ?遥か昔の事過ぎてどうも記憶が曖昧だねぇ…っとそんな事よりカフェ〜!今はもっと大事な事があるんじゃないのかな?』 「……え゛っ?ま、まさか………わ、私にまた『変身して』戦えと言うのではないですよね…っ!?」 『ハッハッハ!そのまさかだよカフェ…いや魔法少女ファンタジアン⭐︎カフェ!!』 「……うっぷ」 そうなのです。私、マンハッタンカフェはかつて幼少期に魔法少女ファンタジアン⭐︎カフェをやっていたのです。それはノリノリで。吐きそう。 「……ぜ、ぜぜ絶対に嫌です…っ!あんな馬鹿のような事、誰が二度と……っ!」 『さぁ!!私から溢れるケミカル粒子をその身に浴びて再び変身の刻だぁっ!!』 「…じょ、冗談ですよね!?私もう今年で27歳になったんですよっ!?それなのにあんな格好させるなんてうわまぶし…っ!?」 ぱぁあああああっ!! 辺りが眩い光に包まれると同時にタキにゃんさんから溢れ出たケミカル粒子が私の身体へとまとわりついてくる懐かしのあの感覚。あぁ…最悪です……。もう二度と思い出しくなか……ん?んんん…?いた…いたただだッ!!!?? 「モチィッ!?なんかやたらと話し声がうるせえと思ってたら急に凄まじい光が……」 「ぎゃあああああぁああああ゛あ゛ぁ゛ーーっ!!?!?」 「な、なんだモチッ!?こっちから叫び声が…っ!?う、うおっ!?ア、アンタ大丈夫かモチっ!?」 変身を終えた私は全身を締め付けられるような痛みに絶叫しながら、地面の上をまな板の上の魚のようにのたうち回っていたのです。 何故そんな事になっているかというと、魔法少女コスチュームが何故か当時の女児サイズのままだったからです。 「ぎぃいあああぁああああ゛あ゛あ゛ーーーッ!!!??」 『……ふぅん?どうやらこれはカフェの魔法少女としての認識が当時のままで止まっていたから起きた現象のようだねぇ。これはとても興味深い!!何せ12歳以上を相手に魔法少女にしたのはこれが初めてだからねぇ!!ケミカル粒子によって生成された丈夫な戦闘用コスチュームが肉や骨を強靭な圧力で締め付ける事により、とんでもない激痛がカフェを襲っているに違いないっ!!』 「変身どい゛でぇ゛えええええええ゛え゛ぇ゛ーーっ!!!」 『おっと、このままではいくら魔法少女になって頑強な肉体になったとはいえ、肉体は無事だとしてもカフェが痛みで発狂してしまう。そーれケミカルサイズ変更〜〜!』 ぱぁああああっ タキにゃんさんが再び私にケミカル粒子を浴びせると、ようやく私の魔法少女コスチュームが肉体にフィットしました。最初からやって下さい。 「…じ……じぬかどおも゛い゛まし゛た゛………」 「おい!話を黙って聞いてたらお前、もしかしなくても魔法少女モチねっ!?心配して損したモチ!!」 気づけば顔を真っ青にして床に這いつくばっていた私の目の前には、先ほどのロンジャが既に立ち塞がっていたのです。 「…こ、これはご心配をおかけして大変申し訳ありませんでした……」 「それはいいモチが……じゃなく!改めて名乗らせてもらうモチ!!もちの名前はモチノロンッ!!」 「こ、これはご丁寧にどうも……」 私は立ち上がると全身についた汚れを払います。一応ロンジャの手前、警戒自体は怠っていなかったのですが、ロンジャは襲いかかってくる事もなく私達の間にはどこか気まずい空気が流れます。 「…………あの?」 「いやこっちがロンジャとして名乗ったんだからアンタも魔法少女として名乗るべきモチ!!」 「え、嫌ですよ……」 「……………」 「……………」 「……魔法少女、覚悟するモチよ!!!」 こうして私の魔法少女復帰後初戦闘が始まってしまったのでした…! ◆魔法人妻ファンタッ⭐︎事案カフェ!! 『さぁカフェ!!久々に君の魔法少女としての力をこの私に見せてくれたまえっ!あ、そこに魔法少女ステッキを落としているから早く拾いたまえよ』 「…えっ!?さ、先に言ってくださいよ…っ!」 先ほど痛みでのたうち回っていた際に落としていたやたらと少女趣味感が強いステッキをすかさず拾うと、私は改めてステッキを構えます。 たぷんっ❤︎ 「………ん?」 するとモチノロンは先ほどまで私に対して臨戦体制だったにも関わらず、唐突に何かに気付いたような顔をすると、訝しげな視線を主に私の身体に私に向けてきました。 じと〜…… 「な、なにか……?」 むち…っ❤︎むち…っ❤︎ 「……その、アンタ本当に…魔法少女………少女……モチ……?い、いや!う、嘘つけモチ!!コイツ絶対少女じゃないモチ!!!落ち着いてよくよく見てみたらなんだこのコスプレおばさん!!?とんでもない弛んだボディしてるモチッ!!」 「……ぐっばっ!?!?」 モチノロンの言う通り、今の私はムチムチに弛んだ身体に、ふっわふわの白を基調にしたフリルだらけの服を着こなすツインテールの変質ウマ娘そのものでした。しにたい。 『まぁまぁ、そう言ってやるんじゃあないよ。女性というのはいつまでも心の中は少女としての自分がいるものなのさ』 「……ア、アナタはもう黙っていてください……っ!」 「ま、まぁいいモチ!!どの道倒してしまえば屠った敵には変わりないモチ!!食らえっ!!モチモチのカチカチお餅の角殴打!!」 モチノロンは巨大な長方形の固まった餅らしき物で殴りつけてきました。空を切る音は明らかに柔らかい物体が出していい音ではありません。 ブンッ!!ブンッ!!! 「あ、危なっ!?それのどこが…くっ!!モチモチなんですか!?それはもう鈍器による物理攻撃じゃないですかっ!」 私は何とか昔の戦いの勘を思い出しながらその攻撃を間一髪で躱していきます。 『やれやれ。ほらカフェ!このままでは一方的にやられてしまうじゃあないか!早く必殺のあの魔法を使うんだよはやく!はーやーく!!』 「……ま、魔法……し、仕方ない……ですね……っ」 その言葉に私は覚悟を決めて再びステッキをモチノロンに向けて構えます。魔法少女としての魔法を発動するには呪文と技名を口にしなければ発動出来ません。 しかしその呪文や技名が、とても魔法少女チックなのです。 「…………ら…っらぶりーっ!!ぷりてぃー…っ!!ふぁんたじあ……っ!!無限の愛よアナタに届け…っ!!」 「うっわ……」 「…ぐっ!!わ、私の名誉の為に死んでくださいモチノロン……っ!マーブルミルクストライプ……っ!!」 ……しーん しかしこれだけ恥ずかしい思いをしたのにも関わらず、魔法は発動しませんでした。 「…………な、なぜ……」 「………っは!?あまりのキツイ光景に思わず気を失ってたモチ!!?」 「…タ、タキにゃんさん…っ!?ま、魔法を放つ事が出来ません……っ!!」 『ふぅン……?どうやらカフェの魔(法少女)力が死ぬほど弱くなっているようだねぇ!アッハッハ!!これは流石の私も想定外だったよっ!ウマ娘というのは身体は成長してしまっても心はいつまでも少女のままのようだと思っていたのだがねぇ!!』 「そ、そんな訳がないでしょう…っ!ど、どうするんですか…っ!?このままでは私、ただの恥の晒し損ではないですか……っ!」 『まぁまぁ安心したまえよカフェ。こんなこともあろうかと用意していたモノがあるのさ……じゃじゃーん!魔力無限供給コーヒー!!ささ、これをぐいっとやりたまえ!!』 タキにゃんさんがどこからか取り出したそれは丸いフラスコ瓶に入った黒い液体。 ぱっと見はコーヒーだなどと言われても決して信じられないのですが、かろうじて香ってくるコーヒー豆の香りになんとか私の脳は目の前のモノをコーヒーだと判断出来たようでした。 「…な、なんですかその怪しい飲み物は……すんすん……い、いくら香りの良いコーヒーだからといってもぜ、絶対飲んだりしませんからねごくっごくっ……あ、コレ普通に美味しい……一体どこの豆を使っているのですかってしまったーーっ!!?」 「いやすごく自然に流れるように飲んだモチ……」 ゴォオオオオォオオッ!! 「モ、モチィイイイィイーーッ!?な、なんて魔力だモチィイイッ!?」 コーヒーの味が身体に染み渡ったその瞬間、私のお腹の下辺りから大量の魔力が溢れ出してくるのを感じました。 今ならいけるという確信の元にもう一度魔法を繰り出します。 「…ラブリー!!プリティー!!ファンタジア!!無限の愛よアナタに届け!!マーブルミルクストラーーイプッ!!」 ビビビビビビーーーッ!! 「ぎゃあああああああーーー!!!こんな変態ウマ娘にやられるなんてぇえええーーーッ!!!」 ドカーン!!! モチノロンは杖の先から出た眩い光という名のビームを受けると魔力により内側から爆発四散しました。相変わらずグロいです。 『素晴らしいっ!!自ら供給出来る魔力は失われてしまってもそれを補ってあまりある魔法出力の天賦の才能!!やはり君は生まれながらの最強の魔法少女だよカフェっ!!それは例え幾つ歳を取っても決して変わらない事実みたいだねぇ!!』 「ひ、人をいつまで経っても少女趣味の変態ウマ娘みたいに言わないでくださ………あれ?」 『ん?どうしたんだい?』 さっきから試しているのですが、身体の中に未だ渦巻き沸き続ける魔力によって変身が解けません。 「……その、元の姿に戻れないんですけど……」 「なんだ戻り方も忘れてしまったのかい?こう力を抜いたらふわっと戻れるだろう?その時に僅かに体内に残留していた魔力も無害なケミカル粒子となって身体から抜けて……あ」 「……あ?」 『魔力無限供給コーヒーの効果で無限に魔力が湧いてくるから、効果が続いている限りは原理上は元の姿に戻れないかもしれないねえ。いやはやこりゃ参った』 「…………え?」 『効果は確か5時間ほどだったかな?まぁ、そのうち効果が切れて戻れるようになると思うから安心したまえ!おっと、では私は先ほどの戦闘データを元に新たな研究に戻るとしよう!また会おう!ファンタジアン⭐︎カフェ!』 しゅん! 「…う、嘘ですよね………?」 タキにゃんさんは何処へと姿を消し、その場には27歳でフリフリの魔法少女コスプレに身を包んだ変態ウマ娘ツインテールが路地裏で一人ポツンと佇んでいたのでした……。 つづく……。 ◆アーッハッハッハ!テレビの前の諸君!楽しんでくれたかな!?それでは次回予告の時間だよ! 「…こ、こんなところ誰かに見られでもしたら…しゃ…社会的に……死……っ!!」 魔法少女コスプレのまま一人路地裏に残された哀れな魔法人妻! 「おかーさんみてー!すごーい!こんな街中に魔法少女さんがいるよーー!!」 「しっ!見ちゃいけません…!!」 「…………し、しにたい……」 そんなカフェへと容赦なく突き刺さる奇怪なモノへと向ける鋭い視線! 「ま、魔力が溢れて止まりません…!こ、このままでは暴発して…た、大変な事に……(魔力が)で、出ちゃう……っ!!あ、あれは……っ!?」 「新作コーヒーの試飲やってますー!もしよろしければうわぁ変質ウマ娘ッ!?!?」 「新作コーヒー1杯下さい」 更に魔力が溢れ出そうになっているカフェを惑わす数々の罠! バァアアアンッ!!! 「警察だッ!ここら周辺で変質者がいると通報を受けてきたッ!!大人しく出てこいッ!!!」 「ハァ…ッハァ…ッハァ…ッハァ……ッ!!(迫真)」 そして訪れる絶体絶命の危機!一体どうなってしまうんだ…!がんばれカフェ!国家権力なんかに負けるなファンタジアン⭐︎カフェ!! ◆次回!魔法人妻⭐︎ファンタッ事案⭐︎カフェ第二話『魔法人妻徘徊』絶対見てくれたまえよっ!